終末期医療を知る・考える

終末期医療の希望を形にする:エンディングノート活用と信頼できる相談先

Tags: 終末期医療, ACP, エンディングノート, 相談先, 意思決定

「もしもの時、自分のことは自分で決めたい」「家族に迷惑をかけたくない」――そうお考えになる方は、きっと少なくないでしょう。しかし、いざ終末期医療について考え始めると、「何から手をつければ良いのか」「誰に相談すれば良いのか」と戸惑ってしまうものです。

この問題に対して、ご自身の希望を明確にし、周囲に伝えるための具体的な方法の一つが「エンディングノート」の活用です。そして、その希望をより確かなものにするために、専門家の力を借りることも大変有効な手段となります。

この記事では、終末期医療に関するご自身の希望を整理し、安心につなげるためのエンディングノートの書き方、そして信頼できる相談先について、分かりやすくご説明いたします。

1. 終末期医療の希望を「形」にするエンディングノート

エンディングノートは、ご自身の「もしも」の時に備えて、希望や情報を書き残しておくためのものです。財産や葬儀のことだけでなく、終末期医療に関するご自身の希望を具体的に記しておくことにも大変役立ちます。法的な効力はありませんが、ご自身の意思を明確に伝えるための大切な手段となります。

エンディングノートに書きたい医療に関する主な項目

エンディングノート活用のポイント

2. 専門家への相談が安心への第一歩

エンディングノートを書くことは大切ですが、一人で悩まず、専門家のアドバイスを求めることで、より安心してご自身の希望を整理し、具体的な準備を進めることができます。

2-1. かかりつけ医や病院の医療相談室

日頃からご自身の健康状態を把握しているかかりつけ医は、最も身近で相談しやすい存在です。終末期医療に関する一般的な情報だけでなく、ご自身の体の状態に合わせたアドバイスを得られるでしょう。

また、多くの病院には「医療相談室」が設けられています。医療相談室のソーシャルワーカーや看護師は、終末期医療に関する制度や選択肢について情報提供を行い、医師との橋渡し役を担ってくれます。漠然とした不安でも、まずは話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になることもあります。

2-2. 地域包括支援センター

地域包括支援センターは、地域の高齢者の皆さんの生活を支えるための総合相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などが配置されており、医療だけでなく、介護、福祉、暮らし全般に関する相談に応じ、必要な情報提供やサービスへの橋渡しをしてくれます。終末期医療について漠然とした不安がある場合でも、まずは地域のセンターに連絡を取ってみることをお勧めいたします。

2-3. 弁護士や司法書士

ご自身の希望をより法的に確実な形で残したいとお考えの場合には、弁護士司法書士といった法律の専門家への相談も有効です。

例えば、「尊厳死宣言書」や「任意後見契約」の作成など、法的な効力を持つ文書や制度を活用することで、ご自身の意思がより確実に尊重されるようになります。これらの専門家は、終末期医療に関するご自身の希望が、法的な側面からどのように実現可能かについて、具体的なアドバイスを提供してくれます。

3. 家族との対話と意思決定の継続

エンディングノートの作成や専門家への相談は、ご自身の希望を整理し、準備を始めるための大切なステップです。しかし、最も重要なのは、ご家族や大切な人たちと、ご自身の希望について話し合い、理解を得ておくことかもしれません。

「人生会議(ACP)」を通じて、日頃からご家族と率直に話し合うことで、お互いの理解が深まり、万が一の時にご家族が迷うことなく、ご自身の希望を尊重した意思決定ができるようになります。

また、一度決めたことが永遠に変わらないわけではありません。ご自身の体調や状況、気持ちの変化に応じて、希望を見直し、改めてご家族や医療者と共有し続けることが大切です。

まとめ

終末期医療について考えることは、誰もが直面する大切なテーマです。ご自身の希望をエンディングノートに記し、必要に応じて専門家に相談することは、自分自身だけでなく、大切なご家族の安心にもつながる準備となります。

今日からできる小さな一歩として、まずはご自身の希望について考えてみませんか。このサイトが、皆さまが安心して終末期医療について知り、考えるための一助となれば幸いです。